『世界一美しい僕の村〜沖縄「命どぅ宝」を覚える礼拝』詩編85編9節

「せかいいち うつくしい ぼくの村」(作:小林豊)という絵本がある。アフガニスタンの小さな村を舞台に、主人公の少年の1年が描かれる。綺麗な花が村いっぱいに咲く春。夏にはスモモや桜桃を家族みんなで収穫。長閑で大らかな村の情景と町の人々。少年は戦地にいる兄に代わり、採れた果物を売りに出掛ける。美しい夕日に照らされながらの帰り道、「来年の春には会えるだろう」と家族の帰りを楽しみに待ちながら、物語は最後のページを迎える。そこには文字だけでこう閉じられる。「この年の冬、村は戦争で破壊され、今はもうありません」・・・衝撃的な結末。作者が中東・アジア諸国を訪れた時の経験が大きなテーマになっている。6月23日は「命どぅ宝(ぬちどうたから)」の日。太平洋戦争中、沖縄の激戦で20万人以上が犠牲となったことを悼む日である。辺野古の美しい自然の海が、民意に反して軍基地建設のために破壊され、広く青い空は今も軍用機が飛び交い、危険と隣り合わせだ。沖縄では今も戦時下にあると言っても過言ではない。われらは失ってはじめてその尊さに気付く。「主は平和を宣言されます。御自分の民に、主の慈しみに生きる人々に彼らが愚かなふるまいに戻らないように」(詩編85:9)戦争体験者が高齢化し、体験を訊(き)く機会が年々失われている現状。神の言葉に訊き、戦争の悲惨さ、命の尊さを訊き続ける必要を今年も覚えよう。(2021.6.20)