『神を愛し、隣人を自分のように愛しなさい』:マルコによる福音書12章28−37節

主イエスと宗教家たちの対話が続く。最も重要な掟をめぐってはマルコによる福音書だけに「聞け、イスラエル・・」というユダヤでは祈りの際、毎日唱えられる言葉が引用されている。愛は「聞く」ことを重んじる。真剣に誠実に聞かねば、相手が大事にしていることを知り得ない。神は自ら、われらと対話を求められるように「聞け」と語られる。そしてわれらが最も重んじるべき言葉を伝えられる。「神を愛し、隣人を自分のように愛せ」と。先月,DaiGo氏というメンタリストの差別扇動発言を巡って SNSでは大炎上。茂木健一郎氏の仲介により、NPO法人抱撲の理事長であり、日本バプテスト連盟東八幡教会の牧師である奥田知志氏との対話がなされたという。彼はこれまで30年以上、路上の命、生活困窮者と向き合い、現場において隣人の声を聞き続けて来られた。NHKの番組「プロフェッショナル」でも何度か出演しておられる。同法人のHPによれば、この度DaiGo氏より寄付を呼びかけることもできるとの申し出があったが断ったとのこと。今彼がなすべきことがある。聞いて、知るべき重要なことがある。資料を送るから学んでほしいと伝え、今後対話を重ねる意向という。「主が喜ばれるのは焼き尽くす献げ物やいけにえであろうか。むしろ、主の御声に聞き従うことではないか。」(サムエル記上15:22)とあるように、律法学者は「聞いて」理解したようである。神の御声が届く距離にあるということか。イエスから「あなたは神の国から遠くない」(34節)、と言われる。人々は、もはやあえて誰も問うことはなく、イエスの言葉に喜んで耳を傾けた(37節)のであった。最も重要な「愛の戒め」。それは「聞く」ことから始まる。今週も聞くべき声に耳を傾けよう。礼拝において、隣人において。(2021.9.5)