イスラエル・パレスチナでの戦争による死者は約2万人に達した。そのうちの4割が「子ども」だという。「地に平和あれ」と祈らずにはおれない。「マッチ売りの少女」は不朽の名作と言われる。元日の朝、裸足の少女がマッチ棒を手に亡くなっていた話だ。少女は辛く当たる家の人も、慈悲なき町の人も恨まない。空腹でも食物を盗もうせず、裕福な家庭を妬むのでもなく、ただ黙って運命に耐えている。しかし最後に、この世でたった一人自分を可愛がってくれた祖母と再会し、もはや寒さも貧しさもない神のもとへと召される。結びには「少女が、どのように美しいものを見たか。どんな光明に包まれて、お祖母さんと一緒に新年の喜びをお祝いしたかを知っている人はだれもいませんでした」と、決して不幸な結末ではない物語なのだ。この作品は、作者自身の境遇とキリスト教の信仰に感化されているとの見方がある。(「アンデルセンの童話と信仰」横山麗子著)確かにアンデルセンは、極度の貧しさや無情な世の悲しみに寄り添いつつ、天における慰めと希望を伝えているのかもしれない。天には栄光が満ちており、神のもとでは賛美が尽きない。「神は自ら人と共にいて、その神となり、 彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。」(黙示録21:3-4)との言葉をキリスト者は信じているからだ。「貧しい人々は幸いである。天の国はその人たちのものである」「悲しむ人たちは幸いである。その人たちは慰められる」と語られた主イエス。その誕生は人の住む所ではなく、家畜小屋であった。人間の罪のゆえに十字架にかけられるために生まれた救い主イエス・キリストは、最初から世の悲しみと貧しさのただ中におられるお方だ。(2023.12.24)
2023.12.24(日)礼拝講壇生花 by YOSHIKO