河北新報「みやぎひと道」に仙台教会(北四番丁)の吉永馨氏(95)の記事が連載中(2024.8.26〜全14 回)だ。冒頭には「病気ではなく、病気の人間を診る。東北大医学部長を務めた吉永馨さんは、患者の心に寄り添う医療を実践してきた」と紹介されていた。まさにイエス・キリストは、病の中に苦しむ者に寄り添われたお方である。「ハンセン病」は古くからある皮膚病で、「癩菌」によって感染する。かつて日本では官民あげてこの患者を排除する隔離政策が実施され、戦後最大の人権侵害が行われた深刻な差別史がある(優生保護法等が廃止されたのは近年であり、最高裁が違憲の判決を下したのは今年7月である)。実際、感染力は非常に弱く、遺伝もしないことが現代ではわかっている。聖書の時代もこの病気の人は社会から隔絶され、誰もが患者との接触を避けていた。触れる者は罪や穢れまでも感染すると信じられた。しかし主イエスは手を伸ばして患者に触れ、病気ではなく、この病人の尊厳の回復を望まれた。人間扱いされなかった人を、社会に復帰させられたのだ。神を神として認めないのを「罪」というなら、人を人として認めないのが「差別」なのかもしれない。人は誰にでも罪があるように、どんなに立派な人でも誰かを差別してしまう。どんな人をも分け隔てせず、手を差し伸べられる主イエスが今週も辛さを抱えた人に寄り添ってくださいますように。(2024.9.1)