『もうええでしょう〜敵を愛しなさい』:ルカによる福音書6章27−36節

「もうええでしょう!」今年話題となったドラマのセリフが流行語大賞にノミネートされた。12月8日は真珠湾攻撃が開始された日、太平洋戦争では310万人もの人々の命が奪われた。現代においてもなおウクライナで、ガサ地区で軍事作戦が続いている。「もうええでしょう!」と戦争休止を叫びたい。2009年1月、敵の砲撃によって3人の娘と姪の命が奪われたパレスチナの医師I. アブラエーシュさんは、翌日テレビカメラの前で憎しみではなく、共存について語った。「それでも私は憎まない」という自伝は国際的ベストセラーとなり映画化もされた。主イエスは言われる。「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい」と。たとえ憎まないことができたとしても、敵を愛するのは人間にはできない。それは神のわざである。人種差別の只中でM.L.キング牧師は語った。「暗黒は暗黒を駆逐することはできず、ただ光だけができるのだ。憎しみは憎しみを駆逐することはできないのであって、ただ愛だけができるのである・・・我々は自分の敵を愛さなければならないほど、現代の世界の行き詰まりに直面しているのではないだろうか」(「汝の敵を愛せ」1965)主イエスはご自身を十字架につける敵さえも愛し抜かれたお方である。このお方を通してわれらは、神こそはまさに敵をも愛するお方だということを知る。神に敵対する人類に御子イエスが与えられた。このお方は今もなお十字架で敵のために祈り、とりなし続けるお方である。平和の君、イエス・キリストの誕生を待ち望むアドヴェントの時期、平和をつくりだす希望の小さな光を心に灯したい。(2024.12.8)